経理メモ(申告・税金)

・白色申告、青色申告、年末調整など、経営者の方ならよく耳にする税金・申告に関連する用語を集めてみました。

【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】

簿記と関連性の高い用語

【経理用語集】

・確定申告
確定申告(かくていしんこく)とは、税金に関する申告手続を言い、日本においては次の諸点を指す。
1. 個人が、その年の1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費や家屋の新築・増改築・売買、盗難や火災、寄付、扶養家族状況などから所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定すること
2. 法人が原則として自己の定款に定められた営業年度を課税期間としてその期間内の所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき法人税額を確定すること
3. 消費税の課税事業者である個人又は法人が、課税期間内における消費税額を計算した申告書を税務署へ提出し、その納税額を確定すること

・白色申告
白色申告(しろいろしんこく)とは、日本の所得税及び法人税において、青色申告に対して用いられる原則的申告方法である。
原則的方法であるため特例措置である青色申告における「青色申告書」のような 「白色申告書」は存在せず、所得税法上「青色申告書以外の申告書」と呼ばれ、また特段申告の方法が変わるわけではない。 税法上認められた青色申告特有の各種特典(所得税法においては青色申告特別控除、専従者給与、純損失の繰越や減価償却等の優遇措置、法人税法上においては欠損金の繰越)が無いか、または縮小される。収支計算を行い、所得を算出し、確定申告を行う点は青色申告となんら変わりがないが、申告書に添付する必要のある書類の種類などにおいて相違が見られる。 また、一般に白色申告による申告は、青色申告に適用される租税特別措置が適用されない為、青色申告での申告より税額が大きくなる。 複式簿記等、一定水準の記帳義務を負わないが、原始記録(領収書等)の保存は青色申告同様原則7年間求められている。税務調査を受けた際、青色申告をしている納税者に国税庁は推計課税を行えないが、白色申告を行う納税者には必要に応じて所得を推計し、課税を行える。 また、税務調査による更正・決定等に不服がある場合、訴訟を提起する前に必ず、所轄税務署長に対する異議申立て、国税不服審判署に対する審査請求の両方を、順に行う必要がある。 税法上、白色申告という記述は無いが、タックスアンサー などの資料では白色申告は用語となっている。

・青色申告
青色申告(あおいろしんこく)とは、複式簿記等の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳から正しい所得や所得税及び法人税を計算して申告することである。
もともと青色の申告用紙を使用して申告することからこの名があるが、平成13年以降の所得税申告書は青色ではなくなっている。法人税申告書では別表一(申告書の表紙となる部分)が、現在も青色である(OCR用紙を除く)。しかし各税法上で青色申告の規定があり、実務上でも青色申告と呼ばれている。
1949年(昭和24年)8月に発表された日本税制報告書(いわゆる「シャウプ勧告」)にもとづいて施行された、青色申告制度に由来する。当時コロンビア大学の教授だったカール・シャウプが、約4ヶ月にわたり日本国内を視察中「日本人は青色をどのような感じで受け止めるのでしょうか。」とある日本人に聞いたところ、「青色は気持ちのよい色です。青空のようにすっきりとした色ですからね。」という答えが返ってきたところから、青色にしたと伝えられている。 政府は、帳簿書類の備付けを促し、申告納税制度を普及する目的から、青色申告を奨励しており、租税特別措置などにおいて各種特典を設けている。

・年末調整
年末調整(ねんまつちょうせい)とは、サラリーマンや公務員などの給与所得者に対して事業所等が支払った1年間 (1月〜12月)の給与・賃金及び源泉徴収した所得税について、原則として12月の最終支払日に再計算し所得税の過不足を調整すること。所得税法(第190条〜193条)に規定されている。 所得税は、1年分の所得について確定申告をすることによって納税するのが原則である。しかし確定申告では1年間の所得税をまとめて支払うこととなり納税者にとって高額になること、また国(税務 署)で個々の納税者(サラリーマンや公務員など)に対応しきれないことなどから源泉徴収義務者(給料・賃金の支払者)が納税者(従業員・公務員)の給料及びそれに対する所得税等を纏めて調整する制度が出来た。
一般のサラリーマンや公務員は年末調整をすることによってその年の所得税の税額が確定することから、確定申告をする必要はない。 しかし給与の年収が2,000万円を超えたり高額な医療費を支払った場合(医療費控除が必要な場合)、20万円を超える副収入がある場合、予定納税をしている場合、2ヶ所以上の事業所などから給与・賃金を受けている場合などは確定申告が必要である。

・財務諸表
財務諸表(ざいむしょひょう・financial statements)とは、企業が利害関係者に対して一定期間の経営成績や財務状態等を 明らかにするために複式簿記に基づき作成される書類である。一般的には決算書と呼ばれることが多い。

・一時所得
一時所得(いちじしょとく)は、所得税における課税所得の区分の一つであって、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた 所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。所得税法第34条一項で定められている。
・一時所得の例
懸賞や福引きの賞金・賞品(業務関係を除く)。競馬・競輪(チャリロトを含む)・競艇・オートレースの公営競技の払戻金。 生命保険金の一時金(業務関係を除く)・損害保険の満期返戻金。法人から贈与された金品(業務関係、 継続的に受けるものは除く)。遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金。
・一時所得の計算
総収入金額−その収入を得るために支出した金額−特別控除額(年間最高50万円=一時所得の金額となる。一時所得の金額の1/2に相当する額が課税対象となる。課税対象額に所定の税率(所得税率等)を掛けたものが一時所得による所得税となる。
・一時所得の税額の計算
(一時所得税額計算の一例・勝馬投票券の払戻金が発生し、計5200円分的中、払戻金797万8000円(合計)のケースにて)
総収入金額→払戻金:7978000円その収入を得るために支出した金額→5200円 ※対象は的中馬券の購入額のみ特別控除額→50万円これを計算式に当てはめると(7978000円−5200円−500000円×1/2=一時所得による課税対象額:3736400円。
推定年収が1800万円超の場合、ここに所得税率(推定年収1800万円超〜:2007年40%)を掛けたもの、つまり3736400円 ×0.4=149万4560円が計算上一時所得の所得税として支払う金額となる。
※所定の税率、今回は例として年収のみを基準としたが、実際は様々な条件付加(扶養家族の人数等)により変化する場合がある為、必ずしもこの限りではない。

・所得税
所得税(しょとくぜい)とは、担税力の源泉を、所得、消費及び資産と区分した場合に、所得に対して課される税金のこと。 所得税の課税対象となる所得のとらえかたには次に掲げる通りいくつかの考え方がある。今日では、次の3つのうち、包括的所得概念が有力であるが、一方で、ヨーロッパ諸国では制限的所得概念の考え方も根強く、たとえば、ドイツやフランスでは株式譲渡益が非課税とされる。また、北欧諸国では、主に包括的所得概念の非効率性に着目して、投資所得と勤労所得とを区分して前者には比例税率課税を行い、後者には累進税率を適用する二元的所得税が採用されている。
所得税は、暦年を基準とする年間の所得について個人に課税する。課税額については所得の種類(事業所得、利子所得、配当所得、不動産所得、雑所得、給与所得、一時所得、譲渡所得、山林所得、退職所得の10区分)に応じて控除額、課税負担割合が異なる。申告納付が原則で所得税の申告のことを一般に確定申告という。ただし、サラリーマンなど給与所得が主である個人については源泉徴収制度が採られており、雇用する事業主が暦年末に源泉徴収額の年末調整を行うことにより所得税の申告納付が完了するケースがほとんどである。

・医療費控除
医療費控除(いりょうひこうじょ)とは、所得税及び個人住民税において、自分自身や家族のために医療費を支払った場合に適用となる控除。所得控除であり、物的控除である。納税者が、自分自身又は自分と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費であること。なおクレジットやローンを利用して決済をした場合には、信販契約成立時(クレジット会社が銀行口座から引き落とした日ではない)の年において、元金のみが控除対象とな る(利息や遅延損害金は対象外)。未払いの医療費については翌年以降支払った年において控除対象となる。

・脱税(申告漏れ)
脱税(だつぜい)とは、納税義務がある、と見なされている人が、その義務の履行を怠り、納税額の一部あるいは全部をのがれることである。 どのような行為をもって脱税と見なすか、その判定基準は国ごとに異なっている。(別の言い方をするならば)脱税と(いわゆる)節税の線引きは国ごとに異なっている。また、「脱税」と判定された者への行政の対応、等々も国ごとに異なっている。日本では、脱税とは偽りその他不正な行為により納税を免れる行為のことである。かつては、脱税は行政犯罪、あるいは経済犯罪と見られていたが、平成23年度の税制改正により、確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより所得税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する事となった。融資などを目的に収入を多く見せかける粉飾決算等を行うのは脱税とは異なる。(ただし、所得税法違反の罪のほかに、詐欺罪や金融商品取引法違反などの罪に問われる。)脱税、節税と似ているが異なるもの に、租税回避がある。これは、私法の形成可能性を利用した行為であり、一般的に次のような要件を満たす行為と説明される。
1. 通常の取引では用いないような異常な取引形態を使う。
2. その異常な取引形態によっても通常の取引と同様な経済的効果が得られる。
3. その異常な取引により税負担を減少させることができる。
租税回避を否認することの是非については、学説、判例上の争いがある。租税法律主義の原則に立てば、その行為を否認する立法がない以上否認すべきではないとの見解も有力である。ただし、各税法の中には包括的否認規定と呼ばれる規定があるため、一様に問題を割り切ることは困難である。計算誤りにより所得が過少となっていた場合や、税法の解釈の誤り、解釈の相違による過少申告、また所得を得ていることを知らなかったり申告手続きが遅れた場合や、その所得が申告すべきものであると知らず放置していただけの場合は通常脱税の範疇に含まれないものとされ、意図的な所得隠しには当たらない申告漏れとして取り扱われている。しかし、こうしたケースの場合でも、大企業や著名人が税務調査により多額の申告漏れを指摘された場合には、報道されるケースが多い。さらには税務調査の結果所得隠しを目的とした仮装・隠蔽の事実が認められた場合は、通常の過少申告加算税に変えて重加算税が賦課される等の差異が設けられている(報道される事案は、こうしたケースが多い)。ただし、仮に本人に税金逃れの意図があったとしても、単純ミスか意図的なものかが一見区別できない程度の行為であった場合は「申告漏れ」として処理されるケースが多い。このようなケースでは「脱税しました」という自白を伴わない限り脱税を立証することが容易でないからである。また行政側も重加算税を賦課された納税者側が原告となって重加算税の賦課取り消しを求める裁判を起こされた際に脱税の証拠不十分で敗訴する可能性が低くないことが想定される場合、納税者側との係争やそれにかかる膨大な費用と時間、労力の消費を避けるために 重加算税の賦課決定を見送るケースも少 なくない。ただしこの場合も申告誤り等に対するペナルティとしての過少申告加算税 ・無申告加算税や税金の滞納に対する延滞税が課される。

・損益計算書
損益計算書(そんえきけいさんしょ)は、財務諸表の1つである。企業のある一定期間における収益と費用の状態を表 すために、複式簿記と呼ばれる手法により貸借対照表などと同時に作成され、その企業の株主や債権者などに経営成績に関する情報を提供する。日本語では「損益計算書」で一貫しており、P/Lと略称されることがある。英語では一般的に"Income Statement"や"Statement of Income"、"Profit and Loss Statement"と呼ばれるが、書類の名称としてはそのほかにもいくつかある。以下に示す単語の前、又は後に"Statement"や"Statement of"が付く。括弧内の数字は米国での2005年の会社数の例。Income (255社) Operations(254社)Earnings(86社)その他(5社)。英国や英連邦の企業では"Profit and Loss Statement"とする場合があるが、米国ではあまり無い。ただ、米国でも通称では日本同様に"P/L"と呼ぶことがある。

・申告納税制度
申告納税制度(しんこくのうぜいせいど)とは、国の税金について納税者自らが、税務署へ所得などの申告を行うことにより税額を確定させ、この確定した税額を納税者が自ら納付する制度(国税通則法第16条)。これに対し、行政機関の処分により税額を確定する方法を賦課課税制度といい、地方税ではこの方法が一般的である。国税においても、戦前は賦課課税制度が採られ、税務官署が所得を算定し税額を納税者に告知していた。しかし、1947年(昭和22年)に、税制を民主化するために所得税、法人税、相続税の三税について、申告納税制度が採用され、その後、多くの国税に適用されるようになった。政府は、帳簿書類の備付けを促し、申告納税制度を普及する目的から、青色申告を奨励しており、租税特別措置などにおいて各種特典を設けている。

・所得税確定申告
自営業を営む個人( 個人事業主 )や年金生活者などは、収入や費用を自分で申告しなければならない。申告時期は、毎年度、翌年2月16日から3 月15日までの1か月間である。期日が土曜日・日曜日と重なると順次繰り下げ、月曜日までとなる。ただし、源泉徴収額が所得税額より多く、還付を受ける場合(=還付申告)は、申告期限前にあたる翌年1月1日(税務署の窓口に提出する場合は、官庁御用始めとなる1月4日以降の最初の平日)から2月15日(ただし、日曜日・土曜日に重なる場合はそれぞれ2月16・17日)までの間でも申告書を提出することができる。なお納税申告となる者が誤って2月15日以前に申告書を提出した場合も、申 告時期まで税務署等が預かるとみなして申告書を収受するため、提出を拒まれるという訳ではないが、申告時期以前に納税した場合、その税金は申告時期が到来するまでは税として納付すべき原因がないのに納付済みになっている「過誤納 金」として扱われるため注意が必要である。また、還付申告は課税対象期間の翌年から5年後まで申告が可能である。確定申告により納付すべき税金がある場合、期限後の申告には無申告加算税が加算される。また、納付期限後の納付には延滞税が加算されることがある。なお広報案内や確定申告の手引き等には通常「所得税の確定申告の提出期間は2月16日から3月15日までです」といった表現がされており、提出期間を過ぎた後の申告書の提出の取り扱いについては原則何も記されていないため「確定申告期限を過ぎると翌年の2月16日まで確定申告の提出を受け付けてもらえなくなる」と誤解している納税者が多い。しかし、確定申告書の提出自体は(無申告加算税や延滞税の賦課を承知の上で行うのであれば)前述の時効が訪れない限り、一年 中いつでも可能である。また還付申告の場合は申告期限が設けられている一部の例外を除いて確定申告期限そのものが無いため、時効前であれば一年中いつでも問題なく提出できる。ただし、同一人物が同一年度中に複数枚の確定申告書を提出することはできない(もし誤って複数枚提出した場合は期限内であれば最後の申告が有効。期限後であれば修正申告または更正の請求の手続が必要)。

・雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税に おける課税所得の区分の一つであって、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。(所得税 法35条)。
・雑所得の例
年金や恩給などの公的年金等非営業用貸金の利子著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などアフィリエイトの収入やインターネットオークションの売金(生活用動産は非課税) 先物取引所得、外国為替証拠金取 引(FX)など。
・雑所得の金額の計算
雑所得の金額は、以下の1.と2.を合算して計算する。
1. 公的年金等の収入金額 - 公的年金等控除額
2. 公的年金等以外の収入金額 - 必要経費
上記のうち公的年金については、通常必要経費は存在しない。しかし、高齢者の生計維持等の社会的要請から、特別に控除額の規定が設けられているといえる。
・雑所得の申告
雑所得の金額は総合課税とされる。ただし、先物取引および外国為替証拠金取引(FX)の取引所取引の場合は所得税 15%、住民税5%の申告分離課税である。平成24年度所得分からは、店頭取引のFXでも「先物取引に係る雑所得等」とし て、所得税15%(住民税税5%)の税率で課税されることとなった(申告分離課税)。年末調整を受けた給与所得者の1年間の雑所得の所得金額(収入から必要経費を差し引いたもの)が20万円を超えると、確定申告する義務がある。20万円以下なら確定申告してもしなくてもよい(雑所得以外の要因による確定申告の義務がある場合は別)。近年、インターネットビジネスなどで多額の雑所得を得ているサラリーマンが確定申告していなくて、税務当局から摘発される事例が増えているので、注意が必要である。

・給与所得
給与所得(きゅうよしょとく)とは、所得税における課税 所得の区分の一つ。俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう(所得税法第28条第1項)。退職所得と同様、恒常性所得のうち勤労 性所得に該当する。
課税方式
給与収入から給与所得控除(経費相当分)を差し引いて算定される。この給与所得控除額は、実際にかかった必要経 費の額ではなく、給与等の収入金額に応じて算定される(所得税法28条2項)。いわゆる概算経費控除である。この給与所得控除については、給与所得者を、実額経費控除が認められる事業所得者よりも不当に差別するものであって憲法14条違反である、との批判があった。実際にも、この主張に基づいてサラリーマン税金訴訟が提起された(最大判昭和60年3月27日民集9巻2号247頁など)が、合憲であるとされた。その後、給与所得控除においても一定の範囲で実額の経費控除を認めるべく、特定支出控除制度が1987年(昭和62年)に設けられた(所得税法57条の2)。

・事業所得
事業所得(じぎょうしょとく)とは所得税における課税所得の区分の一つであって、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいう(所得税法26条1項)。恒常性所得のうち、勤労性所得と資産性所得が結合したものといえる。

・譲渡所得
譲渡所得(じょうとしょとく)とは、所得税における課税 所得の区分の一つであって、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。)による所得をいう。一時所得と同様、臨時所得の一つである。 ただし、資産の譲渡による所得がすべて譲渡所得となるわけではなく、以下に掲げる所得は、譲渡所得に含まれない。たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得は、事業的規模で営まれていれば 事業所得、そうでなければ雑所得に含まれる。 山林の伐採又は譲渡による所得は、山林所得に含まれる。また、金銭債権の譲渡による所得についても、譲渡所得には該当しない。事業所得または雑所得に該当する。

・不動産所得
不動産所得(ふどうさんしょとく)とは、所得税における課税所得の区分の一つであって、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付けによる所得をいう(所得税法26条)。ただし、事業所得又は譲渡所得に該当するものを含まない。 不動産所得と事業所得のどちらに該当するのか、判断の困難な所得がある。例えば、マンションの賃貸業から得られる所得は不動産所得である。一方で、ホテルの運営から得られる所得は事業所得となる。では、ウィークリーマンションの運営から得られる所得はどちらに分類されるのか。マンスリーマンションではどうか。このように、不動産所得と事業所得を類型的に区分することは困難であり、実際は個別の事情に合せた判断が必要となる。この判断に当たっては、事業所得が山林所得と同様に資産性・勤労性結合所得であり、不動産所得が資産性所得であることをその手がかりとする。その上で、人的役務の提供が不動産の賃貸と一体となって初めて意味をなすようなサービスの提供であれば、これを事業所得とする。上述のウィークリーマンションの場合には、部屋の清掃サービスや食事の提供の有無等を基準として判断されることとなろう。

・贈与税
贈与税(ぞうよぜい)とは、税金の一つ。相手からの贈与によって受け取った財産に課せられる国税。
財産を贈与した方ではなく財産を受け取った方に納税義務があるので、厳密には「受贈税」と呼ぶべきである。これに対して、例えばアメリカ合衆国のGift Taxは財産を与えた方に納税義務があるので真の「贈与」税である。本項では日本の贈与税について解説する。 贈与税の目的の1つが、生前贈与による相続税回避の防止にあることから、相続税の補完的な税の性質を持つ。したがって、相続税法(昭和25年法律第73 号)の中で相続税とともに規定されている。納税義務者は、贈与によって財産を取得した個人であるが、権利能力なき社団、財団も例外的に納税義務者になることもある。現在(平成24年度)、贈与税の基礎控除は年間110万円である。その金額までの贈与なら、課税されない。また、その後相続が発生した場合、遡って相続税が課税されることがある(相続開始前3年以内の生前贈与加算)。年間110万円を超える部分に対して課税される税率は、金額により10%から50%と徐々に高くなる。(累進課税制度)。相続税より基礎控除額が低いのは、贈与税は相続税の補完税であるためである。税額の算定に使 われる課税標準(課税価格)は、贈与者の数に関わりなく受贈した財産の評価額で決まる。例えば、一人の贈与者から年間1000万円受け取っても、10人から100万円ずつ受け取っても(その他に受贈がなければ)、税額は同じである。(なお個人以外に贈与税を課すときは、この限りではない。)

・退職所得
退職所得(たいしょくしょとく)とは、所得税における課税所得の区分の一つであって、退職手当、一時恩給その他 の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいう (所得税法30条1項)。なお、過去の雇用関係や勤務関係を前提として退職時に支給される一時金等のうち、退職所得とみなされるものもある(みなし退職所得)。退職所得は、給与所得と同じく勤労性所得の一種である。しかし一方で、給与所得と異なり、長期間の勤務に対する一括後払という性質を有する。また、その受領者にとっては、退職後の生計維持の原資となるべき所得である。このような退職所得の担税力の低さ等を考慮して、課税上一定の配慮をすべく、所得税法上、退職所得は給与所得とは別の所得類型とされている。退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一とされる(所得税法30条2項)。これは長期譲渡所得や一時所得と同様の配慮である。さらに、退職所得への課税に当っては、山林所得と同様に申告分離課税方式が採用され、「課税総所得金額」とは別に「課税退職金額」という区分が設けられている。これは、累進税率の緩和を意図したものである。